なにさま?!ミーハーズ


日本映画『どろろ』

2007年公開・塩田明彦監督

食わず嫌いだったかもしれない。そもそも漫画好き、小学生の頃に手塚漫画は殆ど読破してしまって、中でも『どろろ』は特別な存在。30過ぎた今でも魔物系とかお化け系や恐い話が好きなのは手塚漫画の影響かもしれないと思う。どろろに同化し、百鬼丸に憧れた気持ちは全く忘れてないので、それを実写化、しかも百鬼丸が妻夫木聡で、どろろが柴咲コウというキャスティングがどうしても受け入れ難く、気になるのに映画館には観に行かなかったんですね。気になるからインタビューなどが雑誌に載ると必ず読んでいたんですが。そんな複雑な思いを抱えつつ、WOWOWで放送されるとして迷いなくチェックしたわけです(笑)。



 まずキャスティングに関して。ブッキーは元々好きなんです。百鬼丸のイメージじゃないと思ってただけ。でも私、ブッキーのことを侮ってました(笑)。思い返せば私がブッキーを好きになったのって、『ウォーターボーイズ』の能天気でややボケのブッキーじゃなかったんだよ。主演張るようになる前の脇キャラ、特に屈折した役が好きだった。忘れてました。完璧ではないけど、予想より全然おっけー。それに原作の百鬼丸の顔に時々似てたし。まあ本音は今でもオダギリジョーがよかったけどね・・・(結局どっちなんだ(笑))。芝咲コウに関しては・・・まあ悪くはなかったねって程度。やっぱりどろろにしては大きいよ。台詞回しなんかは頑張ってたと思うんですが・・・。実写版手塚漫画なら多分どろろよりも、同じく女の子なのに男の子として生活している『リボンの騎士』のサファイヤの方が合ってるかも。背格好もいい感じだし。他のキャラは豪華も豪華って感じ。さすが映画、小さい役もいい役者使ってる。でんでんも頑張ってるし。

 全体としては時代設定を未来にしているとか、無国籍風な雰囲気にしているところはある意味原作のイメージを損なわないための効果にはなってるなと思いました。時代を原作通りにしてしまうと時代考証というハードルがそびえるわけですし、既存の作品で時代考証に基づいたあやかし物は何本もあるわけだからそこで勝負しない潔さを感じたというか。ストーリーも映画オリジナルな要素も多々ありました。でも百鬼丸があの姿になる過程の回想シーンは、育ての父の設定こそ仏師ではなくエレキテルな化学者に変換されていましたが、かなり原作に忠実な印象を受けました。産まれたままの姿の百鬼丸、原作通りだし・・・。個人的に原作で一番好きだったエピソードが大きく取り上げられていたのもツボ。捨て子寺が焼けて、死んだ子供たちの霊が集まって大きな赤ちゃんの魔物になってるという話。原作を読んだ時にも大号泣した覚えもあり、あれを取り立ててくれたのは嬉しい限りです。ただ、その後しばらく「早回し魔物退治」になるのですが、これはちょっと逆にかったるかった。後で語るVFXなどの感想に通じる部分もありますが。また、ストーリーの落ち着き先はちょっと陳腐だったような・・・。生まれてくる子のパーツと引き換えに魔物と天下を取る約束をした実の父と実の弟と百鬼丸の涙の父子話がねぇ。実の父役が中井貴一でしたから、やはり悪に染まりきれない魂を持つ男でなければならなかったのかもしれませんが、一度死んでしまった弟を生き返らせる代わりに自分の体を魔物に与え息子の生き返りを確認した後で自分ごと退治させるのってかなりありきたりな気がしてしまった。ちょっと意味合いが違いますが、観ていた時はなんとなく映画『死国』の大杉漣が演じていた栗山千明の父を思い出しました。書いている今はアメリカドラマ『スーパーナチュラル』の父・・・。ま、他のプランなく文句言ってるんですけどね。

 この映画の売りはVFXとワイヤーアクション。言うだけあっててんこ盛りでした。これ観てわかったけど、私、VFXやCGを駆使しすぎていたり映像の中でのワイヤーアクションはあまり好みじゃないということ。ワイヤーアクションなんて俳優自身がかなり頑張ってるとは思うのですが、動き方が単調な気がしてしまう。この作品では中国映画の名手のアクション監督がそのあたりを演出していたそうですが、全然グッと来なかったなー。シューっと上がってサーっと前へ移動するとか、飛びながらクルクル回るとか、見飽きた感じ。なんかガイドワイヤーが見える気がしてしまうんですよね。ワイヤーアクションはもしかしたら生の舞台で使う方がワーッと楽しめるのかもしれないな。ガイドワイヤーなどのからくりを知ってても自分の頭上まで生身の人間が飛んでくるのはやはり迫力ある。映像はしょせん画面の中ですから、一瞬でも冷めちゃうと「失敗してもやり直せたよね」とか思いやすい。映像で使うならもう少し動きがなめらかになるといいのかも。どうしてもカクンカクンって段階踏むように見えちゃうんですよね。
 VFXは、百鬼丸が闘う魔物たちを表現するために多く使われていました。これも難しいね。ブルーマットの中でいっぱい動いてお芝居して、それももちろんアクションだし、俳優の力量を問われる大事なお芝居の一環だと思う。素人目にはグラフィック系の魔物とスーツアクト系の魔物の2パターンあったように見えたのですが、大きさの点では弄ってたとしてもスーツアクト系と闘ってる場面の方が圧倒的に面白かった。グラフィック系の魔物たちの色合いもあるのかなー。最初のタランチュラ蟹はまだよかったけど、2度目の敵の土屋アンナ蛾とその青虫娘たちはどうせなら完璧にアニメーションにしてほしいとまで思ってしまった。青虫ちゃんたちの色が妙にキツくて、空々しかったんですよね。蛾も。でももしかしたら映画館のスクリーンで見たら案外よかったのかなぁ。自宅のブラウン管テレビだから色がなじまないのかも。引きの映像では大きなスクリーンで見たいと思う物も多かったので、『どろろ』はかなり映画館向きの作品だったのかもしれません。

 上映時間が140分くらいでしたが、ちょっと長かったかな・・・。途中がかったるかったから余計。敢えて星の数で評価するなら・・・・・・・・・星三つです。5つが満点。
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by yu-er_911count | 2007-12-10 00:32 | 映画

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「なにさま?」とは「ドラマや映画などについて熱くなるあまり、いかにもえらそうに、あるいはプロデューサー気取りで語ってしまう」おバカなことである!ネタバレご容赦!
by yu-er_911count
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